【一般部門】
・フクちゃん大賞「ええアイデア」 中川 桂
・高知市長賞「侵略者」 村岡正浩
・やなせうさぎ賞「UFO」 二階堂正宏
・よさこい賞「一致団血」 岡林晃史
・よさこい賞「思いやり」 P.N.せらなるみ
・よさこい賞「POKER」 富盛敏秀
【ジュニア部門】
・フクちゃん大賞「ぼくのお母さん」 P.N.大本しき
・高知市長賞「ごみ拾いじゃないごみ拾い」 阿部杏樹
・やなせうさぎ賞「わすれもの」 P.N.花丸
・よさこい賞「かわいい」 杉下 綸
・よさこい賞「1円玉」 P.N.すし丸
・よさこい賞「ガラス越しの大きな人」 古田貴章
おめでとうございます。
受賞作品と一次審査通過作品等は、11月29日から開催の「第21回まんがの日記念・4コマまんが大賞作品展」にて展示を行います。また、29日14時から受賞者表彰式を行います。
各評
【一般部門】

●フクちゃん大賞
「ええアイデア」
中川 桂
最も新時代の要因になるAIをモティーフにAIならではのミステリアスなオチで笑わせ考えさせる作品になっていて感心しました。実は漫画も小説も作曲も今後はAIの操作人が居ればOKという時代がそこまで来ているらしい。絵も見事!タイトルのダジャレも効いていてベリーグー!(矢野)
タイトルにやられました。AIが人間越えできてないところがなかなかいい味出してますね。
(くさか)

●高知市長賞
「侵略者」
村岡正浩
ミステリアスなUFOと宇宙人の登場!何やら話し合っている言葉の文字が何やらそれらしい。3コマ目の動きがパニックを表現していて、画力がたしか!オチの意外性のインパクト満点!文字通り飛び逃げてゆくUFOの姿も笑えます。(矢野)
オウムが地球を救う。妙に迫力のある展開から一気に笑いへ。ショート映画を見ているようです。(くさか)

●やなせうさぎ賞
「UFO」
二階堂正宏
ムダのない表現が見事!
UFOの変則的な飛行を見付けてパトカーが登場!アルコール検査をさせる、何やらまじめくさった光景が笑えます。パープーパープーに続いてのプーがリズミカルに韻をふんでいるのもグー!絵が美しい。(矢野)
アイディアもコマ運びのテンポも絵も素晴らしい。フツーに取り締まる警官も素直〜に検査を受ける宇宙人も可愛すぎます。(くさか)

●よさこい賞
「一致団血」
岡林晃史
インパクトのある画面で一瞬何だろうと思うイントロが成功!一匹一匹の蚊をたどって行くと汗なぞふき出させて吸血している蚊にたどり着く、すると視線は上へと移る。ジグザグのていねいに描かれた、腹がプックリマッカの蚊が続く!頂上には新参入蚊がやって来ている。蚊のパイプラインが出来ている事に気付いて、なにやら納得!妙にリアリティがあるのも面白い!ユニークですね!(矢野)
細くてきれいな線とポイントカラーの赤色が効いたオシャレな絵が素敵。一番上と一番下の表情に変化をつけているところもココロニクいですね。(くさか)

●よさこい賞
「思いやり」
P.N.せらなるみ
やさしい画風の絵が的確で自然な流れで思いやりあふれるオチへ!
バンソウコウが2個というのがベスト!
一個だと、そっけない、3個は押しつけがましくなる。そういう感覚も読者に伝わると思われる。2コマ目の石がなぜか白っぽいのがナゾですね。たぶん痛がっている色かもね?!涙が、イタさとやさしさの2種類!作者の感性が伝って来ます。(矢野)
4コマでこんなほんわかした優しさが伝えられるんですね。タイトルもオチも気負いがなくてスーッと心に沁みてきます。(くさか)

●よさこい賞
「POKER」
富盛敏秀
インパクト満点の造型が美しい!
オチのトランプのトランプが、すべてを一人占めしようとする、最強の役札!大統領令にサインするトランプの姿が浮んで来そうです。この握りしめているものは地球そのものかもね。まさにジョークにもならないジョーカーがオチをひきしめていてすばらしい。作者が沖縄在住というのもリアリティがあります。アートとしても成立しますね!(矢野)
トラ◯プをトランプで表すダジャレネタはベタかと思いきや、凄まじい完成度。トレードマークの青いスーツと赤ネクタイ、チップの色もアメリカ国旗のよう、そして地球を握りつぶすジョーカーに背筋が寒くなりました。(くさか)
【ジュニア部門】

●フクちゃん大賞
「ぼくのお母さん」
P.N.大本しき
ていねいな描写がすばらしい!スクリーントーンも使って効果的ですね。ヒトコマ目のクルっと餌缶を回したり、金魚が餌を欲しがってパクパクしている姿をしっかり描いていてグー!お母さんのアクシデントが起したハプニングが笑えます。食べきれん・・・・と金魚が言ってるのもグー!フクちゃん大賞に選んだのは「笑い」があるからです。(矢野)
コマ運びも絵もムダのないセリフも全部素晴らしい。人物の横向きと前向きがきちんと描きわけられていてすごい。お母さんの特大のくしゃみがすごく楽しいです。(くさか)

●高知市長賞
「ごみ拾いじゃないごみ拾い」
阿部杏樹
絵が上手ですね!拾ってる先から、ごみがこぼれて、どうどうめぐりのエンドレス。四コマ目の表現が上手ですね!漫画は多くは印刷されるものですから、もう少し濃く描く方が良いようです。せっかく上手な絵だから、試してみてね。(矢野)
袋が破れるというよくあることをこんな楽しい漫画にできるなんてすごい。アップや引きや上から見たところなど、変化のつけ方が本当に上手ですね。(くさか)

●やなせうさぎ賞
「わすれもの」
P.N.花丸
絵が上手!特に表情の描き方がすばらしい!まるでマンザイを見ている様なテンポの良さがいいですね。四コマ目の「ないんだった」という表情が絶妙です。この口の曲がり具合がキメテですね。「はは」と笑う女のコの笑顔も。この表情がやなせうさぎ賞につながりました。(矢野)
余計なものを描き込んでいないのですごく見やすいですね。携帯を「わすれた」のと、わすれたことを「わすれた」という、二重にわすれてるというアイディアが大人顔負けですごいです。(くさか)

●よさこい賞
「かわいい」
杉下 綸
みんな私が私がとアピールし合っている内に、結局皆んながかわいい!という事になると言う、単純なお話しですが、なんだかホッコリ!ハッピーエンド気分になる作品ですね。四コマ目の色とりどりの水玉?が幸せ感を出していて効果的です。(矢野)
「自分のことをかわいいと言っちゃいけない」とか「自分でかわいいなんて言っちゃカッコ悪い」とか、そんなつまんない時代は終わったんですね。みんなハッピーな新時代の始まりです。(くさか)

●よさこい賞
「1円玉」
P.N.すし丸
遠近感の不思議が伝って来る作品ですね。すべては見る方のあり方で違って見えるという深い所につながるユニークな四コマ漫画ですね。描いた本人は、たぶんそんな事は意識しなかったと思いますが。絵では遠近感を表すものは何も描かれていない。ただ1円玉が大きくなってゆく事でそれを表現しているのもユニーク。歩いてゆく動きがいいですね。「でか!!」が効果的です。(矢野)
不思議ですごく面白い。あまり大事にされない1円玉だから、びっくりさせる効果抜群です。
漫画の世界はなんでもありだと思い出させてくれました。
(くさか)

●よさこい賞
「ガラス越しの大きな人」
古田貴章
表現が何やら文学的でユニークですね。ミステリアスな展開が面白く、四コマ目で大きな人や場所が明らかになり、「ギャフン」とゲットされちゃったクマがオチてオチになっているのも面白いですね。何よりもタイトルの「ガラス越しの大きな人」がコピーにしても良い出来栄えですばらしい。(矢野)
主役のクマが生き生きしていて魅力的。セリフが惚れ惚れするほど素晴らしい。構図の工夫もパーフェクトです。(くさか)
【総評】
今回も面白い作品が多く、選考にはとても苦労したが、日本はやはり漫画大国なのだ!と嬉しくなりました。
四コマ漫画も時代と共に変化し、何を面白く思うのか?という感性も多様化していて、けっこうマニアックな作品も多かった。
表現方法も造型的だったり、コミック漫画風だったり、ストレートや変化球やメルヘンチックだったりでそれぞれ楽しめた。さまざまな可能性が感じられて、四コマは益々面白くなる!と頼もしく思いました。
政治や宗教にこだわりなく、あれも良い、これも良いと思える多神教の国に生まれ育った幸運を感じさせてくれる自由な作品の数々で、学ぶ事も多かった。
ヤオヨロズの漫画精神こそ、日本の、そして自由民権の国高知の大切な宝物だとあらためて想えた多様な作品の数々でした。(矢野 徳)
初めてチャレンジしたであろう初々しい作品、ほっこり系、ズバッと鋭いもの、など多種多様な作品が集まり、いろんな感覚を刺激されまくった審査でした。
4コマ漫画は難しいです。でもみなさんきちっと、しかも明らかに楽しんで創り上げていらっしゃいました。肩の力を抜いて楽しめばいいんだな、と改めて教えていただきました。
これから未来へ羽ばたく子供達からたくさんたくさん応募があったことが嬉しいです。当落は別にして、4コマ漫画を描いたときのえも言われぬ気持ちを大切にして、これからも漫画を描き続けてほしいです。たくさんのチャレンジをありがとうございました。(くさか里樹)
